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この記事は2021年当時の内容ですが、現在は Anaconda のダウンロード画面に Apple Silicon Mac 用のインストーラーが登録されています。Apple Silicon Mac でも Anaconda が問題無く動作するようです。また、Anaconda は商用利用については有償になったので(個人や教育目的なら無償で使用可能)、Anaconda が動作するとしてもライセンスのグレーゾーンを回避するために miniforge を使うという判断もあり得るでしょう。
Apple Silicon Mac で Jupyter Notebook を使うには、まず miniforge をインストールすることを勧めます。自分のMacがApple Silicon Macかどうか確認する方法は Macの環境設定 を見てください。
Anacondaをアンインストールする
Anacondaと、その機能限定版のMinicondaはどちらもApple Silicon Macを完全にはサポートできておらず、動作しないライブラリがあります。例えば、普通にTensorflowをインストールすると、importコマンド実行時に次のようなエラーが発生して動作しません。
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Original error was: dlopen(/Users/ma/Library/Python/3.8/lib/python/site-packages/numpy/core/_multiarray_umath.cpython-38-darwin.so, 2): no suitable image found. Did find: /Users/ma/Library/Python/3.8/lib/python/site-packages/numpy/core/_multiarray_umath.cpython-38-darwin.so: mach-o, but wrong architecture /Users/ma/Library/Python/3.8/lib/python/site-packages/numpy/core/_multiarray_umath.cpython-38-darwin.so: mach-o, but wrong architecture |
しかも、Anacondaがインストールされているとminiforgeが正常にインストールできません。
もし Anaconda をインストールしていたら、それを完全にアンインストールしてください。アンインストールする方法はネット記事を参照してください。たとえば この記事 の手順は成功した実績があります。
Python3の動作環境を確認する
Apple Silicon Macには最初からPython3がインストールされているはずですが、その動作環境を確認してください。コマンド名 “python” では Python 2.7.xx が起動するかもしれません。その場合はコマンド名 “python3” を使ってください。
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$ python3 --version ← バージョンを確認 Python 3.8.2 $ which python3 ← コマンドファイルの場所を確認 /usr/bin/python3 |
Python3がARMアーキテクチャ上で動作していることを確認してください。次のように表示されれば問題ありません。
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$ uname -m arm64 |
もし次のように表示される場合はRosetta上で動作しています。iTerm2.appなどを使っているとこのようになる場合がありますので、アプリの「情報を見る」の中の「Rosettaを使用して開く」のチェックを外してください。またはシステム標準のターミナルを使ってください。
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$ uname -m x86_64 |
その他、Python公式サイトからダウンロードしたdmgファイルからPython3をインストールした場合等にもRosetta上で動作してしまいます。ARMアーキテクチャ上で動作するPython3環境を準備してください。
miniforgeをインストールする
GitHub上のminiforgeのリポジトリにアクセスします。
少し下にスクロールしてMac用(OS X)の、arm64アーキテクチャのものをダウンロードします。
Downloadsフォルダにダウンロードされますので、そのファイル(シェルスクリプト)を実行してください。
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$ cd ~/Downloads $ bash Miniforge3-MacOSX-arm64.sh |
途中で Enter キーを求められたり、’yes’ と入力を求められたりしますが、全てそのとおりにするとインストールが完了します。 すでに miniforge が(中途半端に)インストールされていたりするとエラーになりますので、ホームディレクトリの miniforge3 というフォルダを削除してやりなおしてください。
インストールが完了したら次のコマンドを実行してください。これはターミナルを開いた時に自動的にconda環境(miniforgeが動いている環境)になってしまうのを避けるためです。
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$ conda config --set auto_activate_base false |
次のように conda コマンドが反応すれば正常です。
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$ conda -V conda 4.10.3 |
Jupyter Notebookをインストールする
Jupyter Notebook はcondaで作った環境ごとにインストールされますので、まずconda環境に入ります。まだconda環境を作っていない場合は “base” という名前の環境がデフォルトで存在しますので指定します。
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$ conda activate base (base) $ |
conda環境が有効になるとプロンプトの前に (環境名) と表示されます。
Jupyter Notebook をインストールして起動します。
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(base) $ conda install jupyter (base) $ jupyter notebook |
ブラウザで Jupyter Notebook が起動します。
Jupyter Notebook の使い方については こちら を参照してください。
conda環境から抜けるにはこうします。
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(base) $ conda deactivate $ |
新しくcondaの環境を作った場合は、その環境ごとに、必要に応じて Jupyter Notebook をインストールしてください。
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