Mac OS
コンピュータの歴史を調べてみるとわかりますが、Linux は UNIX という OS から派生した無償 OS です。実は Mac OS も UNIX を元に作られており、Mac OS と Linuxは親戚筋と言えます。ターミナルの中で Linux のコマンドが使えるのはそのような背景があるからです。
ただし、Mac OSとLinuxは異なる部分もあります。完全な Linux 環境が欲しければ Mac 上に Linux の仮想環境を作る方法もあります。ここでは説明しませんが興味があれば調べてみてください。
Apple Silicon Mac の見分け方
Mac は Intel 製の CPU を使っていましたが、2020年11月に新しいApple製CPUを使った商品、いわゆる「M1 Mac」が発売されました。その後毎年 CPU は強化され、2023 年秋には M3 を搭載したモデルが発表されています。従来の Inte CPU を搭載したモデル(この記事の中では「Intel Mac」と呼ぶことにします)か、Apple Silicon Mac(M1、M2、M3等)かどうかで使い方が異なることがありますので、自分のMacがどちらなのか正しく認識してください。
- メニューの「りんご」アイコンから「このMacについて」を選択し、”Apple M1″ と表示されていたら、それはAppleが設計したCPUを使った、いわゆる「M1 Mac」です。後継の M2、M3 も同様です。これらを Apple Silicon のMac と呼びます。
- その他の、チップの名称に “Intel” の文字列を含むモデルは「Intel Mac」です。
Apple Silicon の CPU は ARM 社のアーキテクチャを使っています。CPU が異なるので Apple Silicon Mac と Intel Mac ではソフトウエアの互換性がありません。しかし、それでは商品として成り立たないので、Apple は、従前の Intel Mac 用のソフトウエアであっても Rosetta 2 の上であれば Apple Silicon Mac で動くように対応しました。
Intel Mac用ソフトウエア → Rosetta2 → Apple Silicon Macハードウエア
Apple Silicon Mac を使っている人は、このような構成でソフトが動作していることを常に意識してください。なお、はじめから Apple Silicon Mac 用に設計されたソフトウエアは Rosetta2 がなくても Apple Silicon Mac 上で正常に動きます。このようなソフトは「Apple Silicon Mac上でネイティブで動作する」と表現されます。
ターミナル
ターミナルソフトは、Mac に標準でインストールされている「ターミナル」が使えます。Apple Silicon Mac の「ターミナル」は Apple Silicon ネイティブで動作します。
標準の「ターミナル」ではなく iTerm2 などサードパーティ製のターミナルソフトを使っている人も多いです。その場合、もし Apple Silicon Mac なら、Finder > “アプリケーション” で iTerm2.app のアイコンを右クリックして「情報を見る」を開いてください。「Rosettaを使用して開く」のチェックがついていたら、それは Intel CPU 互換モードで動作しています。チェックが外れていれば Apple Silicon ネイティブで動作しています。チェックの状態に依存して動作環境が変わり、動作するアプリ、動作しないアプリが変わります。
Xcode
Mac でプログラミングを行う場合は Xcode がほぼ必須です。AppStore で “xcode” と検索すると見つかりますのでインストールしてください。ただし、通信環境にもよりますが数時間かかりますので時間の余裕を持って行ってください。
Xcode は iOS や macOS のアプリ開発環境ですが、それ例外の開発にも Xcode に含まれるツールを使うことがあります。特に Xcode Commend Line Tools(xcode-selectコマンド)はよく出てきます。Xcode バージョン 6.1 以降では、Xcode Command Line Tools も自動的にインストールされるようになっていますので、次のコマンドを実行して確認してください。
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$ xcode-select --version xcode-select version NNNN. ←インストールされていればバージョンが表示される |
もしインストールされていなければ、次のコマンドを実行してインストールしてください。
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$ xcode-select --install |
Homebrew
Linux(Ubuntu)では必要なコマンドやツールをインストールするときに apt または apt-get というコマンドを使いますが、MacではHomebrew(brewコマンド)を使います。Macのターミナルを使ってプログラミングをする場合、必ずHomebrewが必要になりますのでインストールしてください。ただしIntel Macと Apple Silicon Mac ではインストール方法が異なります。
ターミナルでbrewというコマンドを実行して動作すれば既にインストールされていますので作業は不要です。
Homebrewのインストール
まず Homebrewのホームページ(日本語) にアクセスしてください。
「インストール」の表示の下に実行すべきコマンドが書いてあるのでこれをコピーして、ターミナルに貼り付けて(Apple Silicon Mac の場合、「Rosettaを使用して開く」にチェックが入ったターミナルソフトは使わないでください)、実行します。ホームページに表示されるコマンドは変更される可能性があります。必ずホームページからコピーしたコマンドを使ってください。パスワードを聞かれたらMacにログインするときのパスワードをタイプしてください。その後も何度かキーをタイプするように要求されます。
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% /bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)" Password: ==> This script will install: (以下省略) |
コマンド処理が終わったら、そのまま以下の手順に進んでください。
Homebrewインストールの確認(Intel Macの場合)
インストールが終わったら、次のコマンドでバージョンが表示されたら正しく動作しています。
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$ brew --version |
コマンドは /usr/local/bin にインストールされているはずです。
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$ which brew /usr/local/bin/brew |
念のため、コマンド自身を最新のバージョンに更新しておきます。
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% brew update |
Homebrewインストール後の設定と確認(Apple Silicon Macの場合)
Apple Silicon Mac の場合は、コマンドの処理が終わったら、メッセージの最後の部分をよく見てください。
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==> Next steps: - Run this command in your terminal to add Homebrew to your PATH: eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)" ← このコマンドを実行する(2行あるかもしれない) - Run brew help to get started - Further documentation: https://docs.brew.sh |
HomebrewをPATHに追加するように指示されます。PATHとは、コマンドを実行するときに、どの場所にコマンドファイルがあるかを示す情報です。OSはPATHの中に指定されたコマンドがあれば実行し、無ければ command not found のようなメッセージを表示します。
PATHに追加する方法はメッセージ中に書いてありますので、それをコピーして、そのままターミナルに貼り付けて実行してください。実行すべきコマンドはそれぞれの環境で異なりますので、このページの説明からコピペしないでください。必ず、インストールしたパソコン上に実際に表示された内容をコピペしてください。コマンドが2行表示された場合はそれぞれ順に実行してください。
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$ eval "$(/opt/homebrew/bin/brew shellenv)" ← メッセージの内容をコピペして実行 |
次のコマンドでバージョンが表示されたら正しく動作しています。
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$ brew --version |
コマンドは /opt/homebrew/bin にインストールされているはずです。Rosettaの配下で動作するHomebrewと区別するために、インストール先が Intel Mac の場合から変更されています。もし違うディレクトリにインストールされていたら、インストール手順で何か間違った可能性があります。
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$ which brew /opt/homebrew/bin/brew |
念のため、コマンド自身を最新のバージョンに更新しておきます。
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% brew update |
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