理系の大学生が使うパソコンについて思うところを書きます。Windowsパソコン特有の設定については別の記事を参照してください。
MacかWindowsか?
新しくパソコンを購入するときにはMacかWindowsか迷うと思います。結論を言ってしまうと、どちらでも構いません。
ビジネスの世界ではやはりWindowsが多いです。就職したときに「Windowsはわかりません」というのでは困りますので、強いて言うならWindowsが良いでしょう。でも、これはそれほど強い理由ではありません。実際、Macのほうが使いやすい分野もあります。それを理解した上でMacを選択するならそういう判断もアリです。すでにMacを持っている場合もわざわざWindowsに買い直す必要はありません。
・どっちでも良い。または、どちらが良いかよくわからない、という人はWindowsにしておけば無難です。大勢に従うという意味で。
・Macが大好きなMac信者、またはMacを使いたい明確な理由がある人はMacで問題ありません。ただし、学校の設備を借りたりしてWindowsにも親しんでおきましょう。
パソコンのスペックについてはストレージサイズに気をつけてください。大学で4年間パソコンを使うと、相当なデータが溜まります。1コマの授業動画をダウンロードしたら300〜500MBになります。ストレージを消費するソフトウエアを使うこともあります。128GBでは大学で勉強を始めたら数ヶ月後には心細くなるでしょう。256GBあればなんとかなりますが十分とは言えません。512GBならなんとか4年間持つでしょうが、大きなファイルは外付けドライブに逃したりすることが必要になるかもしれません。1TBあれば安心して4年間使えます。
近年の機械学習の実験など、強力な計算能力が必要になる分野もあります。専攻分野によっては普及モデルか、それ以上のCPUを搭載したモデルを選んでください。
隠しファイル・隠しフォルダ
WindowsもMacも買って起動したままだとシステムが使用するファイルなどは見えない設定になっています。大事なファイルを間違って消してしまうとシステムの動作に悪影響を及ぼすので、安全策としてそのようになっています。事務系の用途にしかパソコンを使わない人はそのまま使っていても支障ありません。
「普通は見えないファイルやフォルダ」を隠しファイル・隠しフォルダと呼びますが、工学系のソフトウエアを使って作業をするときにはそのような隠しファイルや隠しフォルダが重要な役割をすることがあります。また、普段から隠しファイル・隠しフォルダを意識するとパソコンのシステムがどのように動作しているか理解を深めることにもなります。エンジニアを目指すなら隠しファイル・隠しフォルダが見えるように設定しておきましょう。
Windowsで隠しファイルを表示するには、FileExplorerの [オプション] を開き、[表示] タブの中の [ファイルとフォルダーの表示] → [隠しファイル、隠しフォルダー、および隠しドライブを表示する] を選択してください。
Macに関してはApple社の公式ページには設定方法の解説がありませんが、「mac 隠しファイル 表示する」等と検索すれば解説ページが見つかります。ちなみにキーボード・ショートカットの
shift + command + . (ピリオド)
で隠しファイルの表示/非表示を切り替えできますが、そんなキーを覚えるよりも、常に表示する設定にしておいたほうが便利です。
ファイル名拡張子
パソコン上のファイル名には「拡張子」が付くのが普通です。例えばExcelファイルの “.xlsx”、PowerPointファイルの “.ppx” 等です。(拡張子の無いファイルもあります)オフィスソフトしか使わないような環境なら、拡張子を意識しなくてもアイコンの形でファイルの種類がわかるので不自由はありません。しかし色々なツールをインストールしたり、パソコンの設定を調整したりするときには拡張子が表示されていないと危険です。意図したファイルではないファイルを編集したり削除したりしてしまう可能性があります。
Windowsの初期状態では拡張子を表示しないので、表示するように設定を変更してください。FileExplorerの [オプション] を開き、[表示] タブの中の [登録されている拡張子は表示しない] のチェックを外します。
Macの場合はFinderのメニューから [環境設定…] を開いて [詳細] → [すべてのファイル名拡張子を表示] をチェックします。
スペースは半角
プログラミングをする機会があるならこれは必須の設定です。日本語入力モードであっても、スペースキーを押したら常に半角スペースが入力されるように設定変更しておきましょう。見た目ではわかりにくいですが、プログラム中に全角スペースが混入するとエラーになります。半角スペースが入力されるように設定してあっても、「Shift+スペースキー」で全角スペースが入力できますので心配ありません。
設定方法はパソコンや使っている日本語入力システム(日本語IME)に依存します。一概には言えない部分なのでそれぞれの環境で調べてください。「半角スペース 設定方法」等と検索すれば見つかります。Windowsなら Microsoft IME の設定の中にスペースキーを押したときに何が入力されるかの設定があります。
OneDrive
OneDriveやGoogle Driveなどのネットワークドライブは便利なものですが、過剰に依存しないようにしてください。人によっては「ドキュメント」フォルダそのものがOneDriveになっているような設定も見かけますが、そのような使い方は避けてください。
OneDrive等のネットワークドライブはファイルの保存用と割り切って使いましょう。ネットワークドライブは、バックグラウンドで同期処理が走ったりするので、常に最新のファイルがパソコン上に存在するとは限りません。一方、ドキュメントフォルダ以下に必要なフォルダを配置する開発ツールなども存在します。ドキュメントフォルダがネットワークドライブになっていると、最悪、そのようなツールが正常に動作しません。
バックスラッシュ(\)と円記号(¥)
(説明の都合上、ここでは半角の「¥」も全角記号を使って書いています。)
日本語のWindows環境では半角記号のバックスラッシュ「\」と円記号「¥」は同じデータです。同じデータが英語環境では「\」、日本語環境では「¥」と表示されるだけで、両者にデータの区別ありません。プログラミング言語で “\n” が “¥n” のように表示されることがよくありますが気にする必要ありません。ただし全角記号の「\」と「¥」は別のデータなので混乱しないでください。
以上はWindowsでの話ですが、Macの日本語キーボードでは紛らわしいことが起きます。Macではdeleteキーの左隣の「¥」キーを押すと「¥」が入力されるのが初期設定になっており、「\」を多用するプログラミングではよく間違えます。「\」を入力するには「option + ¥」を押します。Karabiner-Elements というツールを使えば、「\」と「¥」の入力方法を逆にする設定も可能です。
Chrome の自動翻訳はオフ
下のスクショはGitHubに掲載されたPythonプログラムをChromeで表示したものです。とてもPythonには見えません。
なぜこのようなことが起こるのか、その犯人はChromeの自動翻訳です。Chromeの翻訳機能は便利ですが、「自動翻訳」は実行しないように設定しておきましょう。
必要な周辺機器は常に持ち歩く
パソコンを持ち出すときは、必要な周辺機器も一緒に携行してください。
- 電源アダプタ(必須)
10時間以上電池で使用可能なスペックのパソコンでも、実際にはその半分くらいしか持たないことは普通にあります。授業の途中で電池切れしないように、電源アダプタは必須です。 - USB Type-C から USB Type-A に変換するためのアダプタ
USB Type-C のポートしか無いパソコンの場合は必須です。実験に使用する機器が USB Type-A だったり、USBメモリーでデータをやり取りすることが日常的にあります。 - USB Type-C から HDMI への変換ケーブル
HDMI ポートが無いパソコンの場合は必須です。パソコンをモニターやプロジェクタに接続する時に困ります。 - SDカードを接続するためのアダプタ
SDカードを直接挿せないパソコンの場合は持っておいたほうが良いです。SDカードを使ってデータをやり取りすることもあります。Micro SDカードについても同様です。 - USBメモリー、SDカード(Micro SDカード)などのメディア
データファイルを他の人に渡したり受け取ったりする時に必要です。 - テーブルタップ
複数人で作業する時にひとつあると重宝されます。 - USB Type-C のハブ
Macbook や Surface など、USB Type-C をメインに使用するパソコンの場合、上に挙げたアダプタ類をすべてまかなえるハブがありますので便利です。
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